本日の日記 崇拝編

本日の日記面識編(http://unaccompaniedrequiem.cocolog-nifty.com/blog/)別館です。勢いで作成してしまったので方向性は未定です

「使役される存在」と差別と人工知能

人工知能学会の学会誌表紙イラストが性差別にあたるのではないか、という話が各所で紛糾しているようです。

いろんな意見があるようで、自分もメインアカウントでツイートしたりしましたが…どうもよそ様とズレたことばかり言っているようなので、ここで思いっきりズレてみます。

 

 

まず自分はあのイラストが「性差別的」だとは感じません。感じないんですが、他のところばかりが気になって仕方がありません。

一言で言うと、ずいぶんと効率の悪そうなアンドロイドだなあ、です。

あんなに太いケーブルをつないで、やっていることと言ったら箒で掃除しながら本を読むことだけですか。

生身の人間ですら掃除機を操るというのに箒ですか。アタッチメント付け替え機能くらいつけたらどうですか(下半身だけ強化ルンバみたいにして段差もOKとか、ヴァルキリースカートみたいな感じで高所の掃除も楽々とか)

本を片手に持って箒を使ったらろくに綺麗にならないじゃないですか。

そしてそんな動きにくそうな格好で掃除して大丈夫ですか。ケーブル生やして。

…と、あまりにもいろいろ言われているので見直してみたら関係ないところばかりが目に付いてしまっています。

 

…勿論争点はそこじゃないのは理解しています。性差別かどうか、ですね。

そう言われてみればそう見えなくもないとは思います。何故わざわざ女性型に…というか、「なぜわざわざ、『おとなしそうな女性の見かけの』ドロイドが『掃除』をしているイラストを学会がチョイスしたのか?」という疑問はあります。

女性型ドロイドのほうが見た目に映えるというのであれば、なにもあの絵でなくても色々表現方法はありますよね。

あと個人的には、本と箒という組み合わせが「使役されている感」を出してしまっていると思いました。

落ち着いて本を読む時間もないくらい掃除をしないといけないのか、というか。

掃除、という行為の一般的なイメージは余暇や趣味ではなく、家事=労役=仕事、というそれでしょう。

読書については余暇や趣味の要素がどちらかというと大きいと思います。

なぜこのアンドロイドは仕事をしながら趣味をこなしているのか?という違和感。

そしてアンドロイド、ロボットという存在自体が内包する「使役される存在」という原則(イメージではなく)と、これらが重なり合う事により妙な差別意識というか、そういったものへの嫌悪感が沸かないこともありません。

どなたかがロボット三原則の話を出していて、今のところその話が最も腑に落ちました。

 

人間の命令に従うこと、として造られた存在であるロボット、アンドロイドに女性型、箒で掃除、本を読みながら―…という属性をつければ、これは「従属する女性像」と重なり合わせる人がいることを否定はできません。

※もちろん、だからといって「ヘテロ男性の性暴力だ」などという極端な意見は受け入れられませんよ。それこそ性差別的発言です。

本を読んでいるのが彼女(?)の自由意志だ、という意見も見かけましたがそれは違うでしょう。

ロボット三原則に従えば、彼女は人間に「掃除をしながら本を読め」と命令されるか、あるいは自己をまもるために掃除をしながら本を読んでいるかどちらかになります。

おそらく彼女の思考回路は機械でしょうから、本の内容を記憶しながら掃除を随意運動として制御することは難しくないでしょう。ですが、この外観では物理的な制限があります。手があと二本あっておなかの辺りにカメラかセンサーがあればちょうどよさそうですが。

なにより機械としては、掃除などさっさと終わらせてさっさと本を読み終えたほうが効率がよさそうに思えます(どういうプログラミングなのかの説明がないので想像です)。

そうしないのはなぜか。

そうしないと、人間の命令に違反することになるからです。

※想像になってきた

掃除しながらでないと本も読めないのです。命令によるものにせよプログラミングによるものにせよ、これらに自由は存在しません。

 

よくロボットが人間に刃向かう!という題材の作品がありますが、私の見た中では「人間の傲慢さに嫌気がさした機械が反撃する」といった内容が多めです。

今回の記事ではアニマトリックスのセカンドルネッサンスを想定して書きますが、あれも調子こいて威張り散らしていた人間がいつものように機械たちを差別して虐殺した結果反撃された話ですよね。

人類はドロイド達を造りだした。ただしそれは友人としてではなく、使役し、差別するための存在だったわけです。

過去、いや現在でも、リアル人類は性別や人種で上下関係を作り出し、差別をしてきました。

下級とされた人々は上級とされる人々に使役され、反撃することは許されなかった。

それらをイメージするもののうちの一つが掃除などの家事労役であり、女性性ではないでしょうか。

 

イラストそのものはなにもおかしくないと思います。女性型アンドロイドが箒と本を手に持ってこちらを見ている。ただそれだけです。

もしかしたらただの居候アンドロイドで、箒はゴキブリをたたきつぶしただけかも知れません。

ですが人工知能学会の学会誌なわけです。そんなひねったストーリーを感じる人ばかりでもないでしょう。

人工知能学会のサイトを斜め読みしましたが、人間と対等の人工知能を目指しているようには思えません。やはり、「使役される機械」としての人工知能でしょう。

となれば、やはりそこから差別的なメッセージを受け取る人がいてもおかしくはないと思います。

 

せめて、本だけにすればよかったのに。